ひまつぶし

気になることを統一感なく

【映画】 『父の秘密』 ここまでの鬱映画初めて・・・ネタバレしますよ

okuです。日曜も仕事でしたが、今日はパチンコで1万負けて、セブンでやけ酒用の酒とつまみを買うという「出張王道コース」を体験してきました!ヤッタ

 

先日Gyaoですごく良い映画を観たんです。『幸福の罪』という映画。ハッピーエンドではないのですが、全体的にとても良かったんです。かなりおすすめしたい映画となりました。

naitoujinexpress.hatenablog.com

 

この映画を観たのは一昨日の出来事。そして昨日も観たんです。

 

昨日のはクッソつまらない映画

 

ここまでつまらないと逆に尊敬できるというか、なんで世に出せたのか興味がわくというか、途中で誰か言ってくれる良い友だちいなかったの?というか脚本の段階でゴリ押しでもしないと通らないと思うんですよ。金か?金でなんとかしたか?そんな感想の映画を観ました。

 

そして今日はリベンジ。そしてレビューを書こうと思っているということは

 

すげーよかったし

 

という事です。ちょっと語弊があるかも。映画としてすごく良かったんです。でも『幸福の罪』のように、今回もバッドエンド。バッドエンド中のバッドエンド。というか最初から最後まで終始バッドエンド。こんなつらい映画ないし。

 

あらすじ

 ごく普通の父娘-ロベルトとアレハンドラは、最愛の妻・ルシアを自動車事故で失い、深い悲しみに打ちひしがれていた。2人は新しい土地でやり直そうと、高級住宅街のプエルト・ヴァラルタを引き払い、メキシコシティへと引っ越してくる。ほとんど家具が置かれていない新しい家は、まるで父娘の虚無感を表しているよう。 「前の家のものをここに飾ろう」「いや、新しく揃えよう」
アレハンドラは新しい学校で受けた尿検査で陽性反応が出てしまい、マリファナを吸っていたことをロベルトに知られてしまう。彼は娘を心配するが「もう吸わない」と約束するアレハンドラに、それ以上の言葉をかけることができない。 「父子関係は順調ですか?」「仲がいいよ」
一方、ロベルトは保険会社で妻の事故について調査を受けるが、事故の日の詳細を尋ねられて、動揺してしまう。 「娘さんが運転を?」「娘は乗っていなかった」
アレハンドラは悲しみから立ち直れない父親を気に掛け、必死に亡き母の代わりを務めようとする。妻の服を着て、大人びた振る舞いをする娘に戸惑うロベルト。 「ママの服を?」「着替える?」
次第に新しい学校生活に馴染み始めるアレハンドラ。ある週末、仲良くなった同級生たちと遊びに出掛け、クラスの人気者であるホセと一夜限りの関係を持ってしまう。行為の一部始終を録画するホセ。翌日、学校中にその動画が配信されるやいなや、彼らの態度は一変する。ホセに好意を抱いていたカミーラはアレハンドラを激しく罵り、仲間たちと彼女をいじめ始める。 「このアバズレ!」
日々エスカレートしていくいじめ。カミーラたちに髪の毛を切られてしまったアレハンドラは耐えきれなくなり、すべてを捨てて逃げ出そうとする。しかし、いまだ悲しみで心を閉ざし、自身のレストラン経営もうまくいかない父親に余計な心配は掛けられないと思い直した彼女は、いじめられていることを相談もできず、自分一人で耐えることを選ぶのだった。
憂鬱な臨海学校を休むこともできないアレハンドラ。同級生たちが酒宴を繰り広げる中、宿泊先のホテルの部屋でトイレに閉じ込められた彼女は、男子生徒から凌辱されてしまう。その夜、同級生たちに夜の海へと投げ込まれたアレハンドラは、そのまま姿を消してしまう…。
アレハンドラが行方不明になり、学校は大騒ぎになる。その知らせで初めて、娘がいじめにあっていたことを知ったロベルトだが、いじめていた生徒たちは皆、素知らぬふりをする。 懸命な捜索活動が続けられるが、アレハンドラは一向に見つからない。娘までも失ってしまったと嘆くロベルトの怒りは、ついに頂点に達する。 「私はバカだ」
ロベルトはいじめの原因を作ったホセを連れ出し、アレハンドラが消えた海へと車を走らせるのだった…。

 

監督が訴えたいのは「暴力」

物語は修理工場から始まる。修理した箇所の説明を受けるロベルト。その説明がやたら長い。え?え?え?買った方がいくね?と思うような修理。というか全交換的な修理。それを淡々と聞きお礼を言って車をもらうロベルト。修理工場から出て、大きな道へと車を走らせる。途中信号で止まったところで、キーを抜きダッシュボードに放り投げてから、車をそのまま放置して歩いて去ってしまうロベルト。

 

ここまで一切の説明なし。日本映画なら「私は妻をなくした。その妻の車の修理が完了したので取りにいったのだ」とか余計な説明が入りそうなところを説明なし。その後もなんの説明もないんだけどね。

 

そして場面が変わって、今度は娘を乗せて車を走らせるロベルト。「前の車はどうしたの?」「売った」

 

修理されたのは妻が事故死した車。ロベルトはその車を運転することが耐えられなくなって新しい車に変えたのだと思います。そして娘も多くを聞かない。父親の落胆を知っているので、なんとか支えてあげないとと思っているのでしょう。

 

その車で新天地へと向かう二人。新居に到着して、娘のアレハンドラは前の家のものを飾りたいと言います。しかし、ロベルトはそれを否定をするわけでもなく「新しいものを揃えよう」と言います。

 

監督が訴えたい暴力は殴るとか蹴るとかだけではなく、こういうすれ違いも含んでいるのだと思います。きちんと「お母さんを思い出すものを今は置きたくないんだ、すまないアレハンドラ。許してくれるかい?」と説明するのがコミュニケーション。「新しいものを揃えよう」とだけ言うのは、妻をなくした父親を心配している思春期の娘には言葉が足りなすぎるのかもしれません。押し付けて、有無を言わせないものになってしまっていることが「暴力」の一種なのかと考えてしまいました。

 

こういう気持ちのすれ違い的なものからはじまって、この映画ではイジメの描写で「暴力」を映し出します。そのイジメが凄すぎて、泣いてしまいました。父親が娘に絶対起こってほしくない事のオンパレード。辛すぎて辛すぎて、イジメ問題の映画と捉える人もいるかもしれません。

 

そのイジメは自分の中だけにとどめて、父親には一切言いません。言えません。とりあえず父親の状況を説明すると、父親はシェフで、心機一転、娘とがんばって生きようと、新天地での職をさがすも、職場での仲の良いカップルの会話などが、どうしても許せなくなり、仕事を辞めてしまうわけです。映画で説明はありませんが、たぶん父親はすぐ暴力をふるってしまう人なのかもしれません。車で割り込みをされた人と、降りてまでケンカをしたりするシーンがあるのですが、それで、そういうキャラなのだと説明してくれていると判断しました。そういう性格なら、カップルの会話にイライラきて、殴ってしまう前に退散した、という解釈ができます。おれはそれが自然だと思ったので、そういう解釈で映画を観ました。娘に多くを語らないのも、感情のコントロールをするのが苦手だからなのかもしれません。

 

娘のイジメ

イジメは友だちとの別荘でのパーティーのとき酔った勢いでしてしまった行為を動画に撮られアップロードされたことから始まります。

 

それが学校中に広まり、とにかく限度なくエスカレートしていきます。最初は抵抗するものの、どんどん抵抗できなくなっていくアレハンドラ。最後は臨海学校での陰湿なイジメで海に・・・

 

ネタバレ

夜、臨海学校の先のビーチでおしっこをかけられて、海で洗うことにされ、みんな濡れていないと先生に怪しまれると、全員で海に入るが、はしゃいで水をかけあっているあいだに、アレハンドラはどんどん沖に泳いでいきます。そして引越しする前の昔の家に帰り、残っていたベッドでやっとゆっくりした時間をすごすのです。それを誰にも言わないアレハンドラ。もちろん父親にも。もう父親を気遣うことすら出来なくなっていたのでしょう。自分のことで精一杯。

 

臨海学校ではアレがいなくなったことが朝の点呼で判明。クラスメイトは誰ひとりアレが海でいなくなったことを言っていなかったのです。そして父親に連絡が入ります。

 

臨海学校先まで行き、警察では質問攻め。ロベルトは聞きます。「クラスメイトに話しを聞けないのか?」警察は「未成年だから聴取できない」

 

疲れて帰宅したロベルトは家にDVDが投函されていることに気付き、すぐそれを観てみます。そこには娘の行為が・・・そこからロベルトは学校へ行き、色々調査していくことに。しかし、イジメに関してなんの証拠もつかめない。そして娘はもう死んでしまったと思っているロベルトは、もう失うものなど何もないと思ったのでしょう。未成年を裁けないのなら、おれが裁く。となるのです。

 

最後は行為をした男子生徒ホセの家に張り込み、父親と車で自宅を出たホセを尾行。父親が車から離れたすきに拉致をするのでした。

 

そして手を後ろに、足も縛りつけ、猿ぐつわをして、ロベルトはアレが死んだと思っている海へと向かうのでした。

 

地元の漁師にボートを借りるロベルト。ホセはそれに乗せられ沖まで連れていかれるのです。何度も何度も命乞いをして助けてほしいと懇願するホセに対して、ロベルトは、もう感情の一切がなくなってホセを見ることもなくただ進行方向を向いてボートを走らせるのです。そしてボートを止め、ホセを抱きかかえて、なんの躊躇もなく、海へと落として帰るのです。ここで映画は終わり。エンドロール。

 

感想

ひどく疲れました。終始つらいシーン。最後も救いがない。たぶんクラスメイト全員、そして学校、世の中、ロベルトは全員殺しても足りないと思っていたかもれません。どこまで殺すシーンがあっても、すっきりするものではないし、イジメの根源の死をもって、映画を終わらせることが最良で、そこしかエンディングに出来るポイントはないのかもしれません。これが、娘の無事を知っていたらロベルトはここまで冷酷になれたかと言えば、そうではなく、人は絶望や、誤った情報だけでここまで冷酷になれるという警告かもしれないし、映画として訴えるとこは暴力だけではなく、こんな人間心理の脆さみたいなとこなのかもしれません。

 

万人におすすめできる映画ではありませんが、ヒューマンドラマとしては最高だと思います。つらいの平気な人だけ観てください。Gyaoで観れます。買って観たいならうちから買ってください。中身は変わらないのでレンタル落ちでいいでしょう。

 

 

明日はハッピーエンド探す。おかしくなりそう。

 

おしまい。