ポテチ
okuです。先日のエントリーを言及していただきまして
naitoujinexpress.hatenablog.com
そしたらこの方、もっと素敵そうな映画を観ていらっしゃるじゃない。
空き巣を生業としている青年・今村は、ある日“仕事”に入った家である留守番電話を聞いてしまいます。留守番電話の主の女性はどうやら家主の元彼女らしく、これから自殺すると泣き喚いているのです。お人よしの今村は彼女を放っておけず、「キリンに乗っていくから!」とわけのわからない言葉を残し、彼女がいるというビルの屋上へと向かいます。彼女は今村の説得で自殺を思いとどまり、二人はそれがきっかけで同棲することに。そんなある日、今村の彼女となった若葉は、彼の仕事ぶりが見たいと空き巣の現場へ同行することになります。今村が入った部屋はプロ野球選手の尾崎の部屋でした。今村と尾崎は同じ日に同じ病院で生まれたというつながりがあり、今村は尾崎の大ファンなのでした。ですが彼は、何かを盗む様子もなく、野球漫画を読んだりしてくつろいでいる始末。代わりに若葉が金目の物を見つけ、さっさと帰ろうと促しますが、今村は腰をあげようとはしません。そのとき、電話のベルが鳴り、メッセージが残されます。そのメッセージは、尾崎に助けを求める女性からのメッセージでした。若葉と出会ったときに似ているこの状況に、またしても今村は放っておくことができなくなり、電話の女性の元へと向かうことに。しかし、そこで待っていたのは尾崎から金をだまし取ろうとする詐欺師のカップルでした。そんなカップルに激怒する今村。怒っておなかがすいた二人は、車の中でポテトチップスを食べます。若葉はコンソメ味、今村は塩味を買いますが、今村は間違えて塩味を若葉に渡してしまいます。若葉は「コンソメ食べたい気分だったけど、塩味もいいもんだね。間違ってもらって、かえって良かったかも」といい、そのまま塩味を食べてしまいますが、その言葉に今村はなぜだか号泣するのでした。彼の涙の理由は、26年前に二人の赤ん坊が生まれたあの病院へと遡り・・・。
ここからネタバレ
ストーリー読みました?今村は、頭が少し悪いですが、心底優しいんです。それが、この映画のキモになります。自殺をほのめかす電話だからといって、空き巣に入った家で、電話をかけ直したり、説得の仕方が独特だったり、頭が悪い部分を見せつつ、すごく優しい男だということがそこでもわかります。
尾崎選手は地元のヒーロー。今村と生年月日も産まれた病院も同じ。そして分娩室もとなり。この時、赤ん坊の取り違えが起きていました。育ててくれた「かーちゃん」は、ヒーローである尾崎選手の本当の親なのです。
今村はそれを健康診断で知ります。母親にも受けさせようと実家に帰るが、母親と血液型がどうしても一致しない。そして調べて、それが判明します。引用したストーリーのポテチの渡し間違いで「間違ってもらって、かえってよかったかも」と言われ号泣するのはそのためです。
でも今村は、けして誰かを恨んだりせず、育ててくれた「かーちゃん」のことを気にするのです。本人は言いませんが、若葉が解説してくれます『かーちゃんがかわいそうだと思っているじゃないですか?本当だったら、優秀な息子を持てたかもしれないのにって・・・』そういう純粋な男の子なんです。
心温まる感動のストーリー・・・でもない
今村が純粋だから、ほんわかする映画だけど、おれはなんだかちょっぴり切なかった。映画を観てもらえばわかってくれる人はいると思う。
これからも空き巣で暮らしていくことは変わりないし、かーちゃんは本当のかーちゃんではない。ただ尾崎選手の活躍をかーちゃんと一緒に喜ぶことくらいしかできない。それを今村の純粋さでカバーしているけど、これってやっぱ切ない。
でもすごく良い映画だったのはたしか。伊坂幸太郎さすがです。次は伊坂幸太郎の『重力ピエロ』を観てみようかな。
エンドロールはきちんと観るべし
というわけで、とても素敵映画なのでよかったらご覧になってください。68分と短めですが、ちょうどええ。実にちょうどええ。ちょうど良いと書いてもいいけど、二丁拳銃大好きなおれは、二丁拳銃のちょうどええクイズというネタが好きなので、ちょうどええ、で。
エンドロールの途中で、大事な伏線を回収するので、最後まできちんと観てください。この伏線回収で、なんだかすっきりと観終われます。
チャオ!